音楽は人生の「栄養」だ!

音楽は人生の「栄養」だ!

人生の方向が決まった日

中学生だった私は大晦日のある日、家の大掃除をしていた。すると音楽好きの親に買ってもらった電子キーボードが出てきた。小学校に入ってすぐに音楽が好きになるようにと親が買い与えたものなのだが、小学生の頃はプラモデルやラジコンに夢中でキーボードなんて見向きもしなかった。

 

長らく押入れの奥で眠っていたのだが、大掃除のタイミングで何年ぶりかに登場した。”大掃除あるある”だが、整理をしている時に出てきた懐かしい本や写真に夢中になり、片付けが進まないという現象。

 

「あ〜、あったなぁ、、、こんなヤツ」

 

その時の私も出てきたキーボードを見て、何となく懐かしさを感じていた。全然使ってなかったので、買ってもらって7〜8年経っていたにも関わらず新品同様だった。

 

「あんた、それどうすんの?弾かないなら処分するけど」

 

掃除機をかけながら母親は、せっかくキーボードを買ってやっても音楽に興味を持たない我が息子を少し白い目で見て言った。人に譲ると言われると、何となくもったいない気がするのは日本人だからだろうか。「そのうち弾くから、一応置いとくよ」そんな事を言いながら、その時は弾く気なんて全くなかった。何となく人にあげるのが嫌だっただけ。

 

しばらくして、家でテレビを見ていた時のことだった。音楽番組であるバンドが演奏をしているのを見た。そのバンドはドラムやベースがいない言わゆる「ユニット」形式のバンドだった。その代わりキーボードの人が、自分の周りに音響機材とキーボードを山のように積み上げて演奏していた。よくあるロックバンドのような音楽ではなく、今まで聞いたことがないような新鮮な音楽に耳を奪われた。

 

「キーボードってこんな音が出せるのか」

 

すっかりテレビに釘付けでバンド演奏に聴き入っていた時、あることを思い出した。

 

「ひょっとして、ウチのキーボードでもこんな音が出るのか?」

 

すぐに自分の部屋に戻り、すっかり放置されていたキーボードに電源を入れてみた。そのキーボードは100種類の音が出せる、コンパクトながら本格的なキーボードだった。もちろん演奏できるわけもないので、適当に鍵盤を叩きながら色んなボタンを押したりして触ってみた。

 

それまで鍵盤が付いている楽器と言えばピアノとオルガンしか知らなかった私は、ボタンを押すだけで色んな音が出るキーボードに夢中になった。その日は寝る直前までキーボードを触って遊んでいた。

 

それからどんどんキーボードにのめり込んでいった。音楽の教科書に載っている簡単そうな楽譜を見ながら練習をした。家で音楽の教科書に夢中になっている息子の姿を見て、親はかなり嬉しそうだった。独学だったが徐々に弾けるようになり、もっと練習をしたいと思うようになった。

 

家にあったそのキーボードは鍵盤も小さく、本格的な演奏はできなかったので、親にもっと大きなキーボードを買ってくれと頼んだ。プラモデルやラジコンはいくら頼んでも買ってくれなかった親が「音楽に夢中になるのはいいことだ」そう言って、かなり本格的なキーボードを買ってくれた。そして毎日キーボードを弾く練習を続けていった。

 

その後は高校でバンドを組み、大学の軽音楽部ではキーボードだけでなくドラムやギターも演奏した。バイトしたお金はすべて楽器、音楽機材、CD、楽譜につぎ込んで、自宅はいくつものキーボードやギター、天井に届きそうな音響機材の山、何千枚ものCDで埋め尽くされた。自分で作詞や作曲もし、インディーズでCDを出したりもした。

 

大学卒業後は専門学校で音響を勉強し、楽器屋のスタッフを経験し、その流れでイベントの音響会社へ就職した。在職中はテレビに出てるような大物バンドや歌手のライブイベントを、音響オペレーターとして仕事に携わることができた。

 

起業した今は以前のような仕事に関わることはなくなったが、今でも音楽はすごく身近にある存在だ。振り返ると自分の人生にはずっと「音楽」があった。不安な事や嫌な事があった時は、自分の好きな音楽を聴いてテンションを上げ振り払った。受験や就職活動で疲れた時も、好きな音楽を聴けばパワーをもらう事ができた。

 

何か大きな事に挑戦する時は、必ず好きな音楽を1日中聴いて自分のマインドを高めていた。音楽が一切なければ、自分の人生はどうなっていただろうと思うことがある。人生の栄養失調になっていたのではないだろうか。タワーレコードのキャッチフレーズ「NO MUSIC, NO LIFE.」はまさにその通りだと思う。本当に生きる上で欠かせない大切なエネルギーである。

 

ちなみに私の人生の方向を決めた大掃除の時のキーボードは、YAMAHA/PSS-170という小さなキーボードである。今はもう使う事もなく再び物置きの奥で静かに眠っているが、私の原点と言える重要な一品として大切に保管している。ちなみに今はMoogの「Sub Phatty 25」というモノフォニックシンセに夢中だ。

 

 

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