素人の写真が売れて、プロの写真が売れない理由

素人の写真が売れて、プロの写真が売れない理由

現在は映像のフリーランスをやっていますが、会社員時代からカメラで写真を撮るのが趣味でした。最初はコンデジやiPhoneでスナップ写真を撮影する程度でしたが、本格的なカメラの表現力に魅了され、初めて買った一眼カメラが「Canon EOS Kiss X4」でした。ここから私の一眼レフ生活が始まりました。

その後レンズや三脚もグレードアップして、写真撮影にハマって行きました。撮影した写真はSNSにアップしたり、友人に見せたりと基本的には自己満足で楽しんでいました。ただ「プロカメラマンの写真は、素人の自分の写真とどれぐらい違うんだろう?」と思うようになり、プロの作品なども見るようになりました。

 

インターネットがない時代にプロカメラマンの作品を見ようと思えば、写真集を買うか個展に行くかという選択肢だったと思いますが、今の時代はパソコンやスマホでいくらでもプロの作品がタダで見れます。いやーとてもいい時代ですね(笑)

 

プロの作品を見て思ったこと。その当時の率直な感想は「え?これぐらいなら自分でも撮れるんじゃね?」でした。もちろん、さすがプロだと思えるような圧倒的クォリティの作品も多くありましたが、それ以上に素人の自分レベルとそれほど変わらないと感じてしまったものも多くあったのは事実です。(後々、自分にも撮れる!と思った気持ちは悔い改めることになるのですがw)

 

これは一眼レフを始めた人が、少しカメラの使い方に慣れてくると「あれ?自分は写真が上手いのかも?」と感じてしまうのです。それまでコンデジやスマホでオート撮影しかしたことなかったのに、レンズを変えてボケを出したり、露出やホワイトバランスをマニュアルで操作できるようになると、自由に写真の質感を操作できます。それで少しオシャレに写真が撮れると、自分は写真が上手いと勘違いするんです。これから一眼レフやろうと思ってる方々は注意して下さいね(笑)

 

そのプロっぽい写真を自分でも撮れると勘違いしたことがキッカケで、「写真を売る方法」を探し始めました。その当時は会社員だったので、カメラマンとしてどこかに撮影に行ってギャラをもらうという事は難しいと判断し、それなら写真を販売してみようという結論になり、そこで見つけたのが写真素材販売サイト【PIXTA(ピクスタ)】 というストックフォトサイトでした。

ストックフォトとはプロや素人問わず、撮影した写真(基本的にはデータ)をサイト上にアップしておき、購入されるとサイトの利用料を差し引かれた分が自分の収益になるというシステムです。例えば1,000円で写真データを販売していて売れると、30%〜40%を利用料として引かれ、そこから源泉徴収なども差し引かれ、ザックリですが500円ぐらいが収益になります。(サイトや販売履歴により個人差あります)

 

「なんだよ?半分も持っていかれるの?なんか割りが悪いな〜」と思った方。はい、私も最初はそう思いました。でもよく考えると、素人が撮影した写真を自分のSNSやホームページで販売していても売れることはまずないでしょう。それより大手のサイトにアップしておいた方がSEO的にもブランド的にも強いので、売れる確率は格段にあがります。手数料は「広告料」だと思えば妥当なところでしょう。

 

ところで、ストックフォトを始めた人が最初にぶち当たる問題、それは「売れない問題」です。さっき売れる確率が高いと言いましたが、それはある程度の基準を満たした写真だけです。まずストックフォトは写真をアップする際に運営側による「写真の審査」があります。ピンボケ、露出不適切、倫理に反するものなどはアップする以前にNG(リジェクトと言います)になります。

 

無事に審査合格になると、サイトにアップロードされ金額がついて販売が開始されますが、、、まぁ売れません(笑)私は最初の1枚が売れるまで約1年かかりました。すぐに売れる人もいますが、これは個人差がありますね。場合によってはプロの写真より先に素人の写真が売れることもあります。

 

ちなみに、私がPIXTAで今までに売れた写真の中で、特によく売れたベスト3の写真が下の画像です。1位が土偶、2位がトラックボール、3位が名古屋城です。

 

この写真を見て「よく売れたって言うから、もっとすごい写真かと思ったけど、普通の写真だな」と思った方。それこそが、ストックフォトで売れる写真の考え方です。要するにストックフォトに求められている写真は「素材」としての写真がほとんどなのです。写真を買う人はデザイナーやアーティストが多いです。自分で作品を作る際の素材として写真を探している人が買うのです

 

デザイナーやアーティストは購入した写真をそのまま使う事は少ないでしょう。PhotoshopやIllustratorなどを使って切り取ったり文字を入れたり色を変えたり、、、様々に加工して自分のデザインにして行くことが多いです。その場合、素材の写真自体が加工されすぎていたり、奇抜すぎると非常に使いにくい素材となり売れない理由になります。

 

変にアングルに凝りすぎたり、色補正などを加えすぎた場合もほとんど売れません。売れる写真はいたってシンプルで自然な感じで撮影されているものが多いです。カメラマンがこだわり抜いた芸術的な写真は売れなくても、素人が無背景の定番アングルで撮影したシンプルな写真は売れるのです。

 

ただしノーレタッチでOKかと言えば、そうでもありません。細かいゴミやチリが写り込んだ場合の修正や、露出補正、色補正などの最低限のレタッチングは施しておいた方がより良いでしょう。

 

自分のアート表現として写真撮影をする考えとは真逆で、どれだけ素材として使いやすい写真を撮れるかを念頭に置いて撮影をすれば、売れる写真が見えてくると思います。少額でも自分が撮った写真が売れるのはカメラ好きからすれば嬉しいものです。興味ある人はぜひチャレンジしてみて下さい(・∀・)/